2013年12月28日土曜日

おあずけですか

とある雑居ビルに構えられたオフィス。見覚えがある。かつて勤務していたITベンチャーだ。

一番広い部屋では納会をやっているらしく、ワイワイとした声が聞こえる。

ところが僕といえば、ボスに「客先に提案する予定だ」と言われた、あまりにも残念な企画書と戦っているのだ。

練り込まれていない流れのスライド、中身のない文言、無駄に細かい文字、そして何を言いたいのか分からない提案内容・・・

しかたがないので、スライドのデザインテンプレートだけパクって、一から文言や構成を起こし直す。

ざっと20分くらいでまとめ上げて、そのまま納会へ合流。しかし、ここでも耐えがたい仕打ちを受ける。

まず、僕の食べ物がない。

そして、飲み物はあるけれど、なぜか客先の方も参加しており、社内では結構若い方であった僕がビールなどを注いで回る役に。

結局なにも飲めないし、僕のプラコップにはコーラ一滴すら注がれることはなかった。

とどめには、泥酔した経営陣や客先の人間から、どういうわけか「お前はダメだ」、「あんたはずっと下っ端やっていればいい」などという狼藉の言葉を浴びせられる。

あまりの仕打ちに頭にきていたので(というか、夢だという自覚がこの辺で出てきた)、僕は言った。

「僕がダメだというなら、あの修正した企画は削除しておきますよ。ダメなヤツの校正した企画なんて、ダメな企画でしょうし」

「ついでに僕の組んだシステムも全部ダメですよね。じゃあ会社にとって害悪なので削除しましょう」

「僕も退職でいいですよね。名ばかりのダメCTOですし。」

慌てる客先、そして言葉を失う経営層。

その場でお疲れ様でした、と言って、雑居ビルのオフィスを後にした。

2013年12月18日水曜日

dimension++

とある男がとんでもない呪文を編み出した。

「dimension pla pla (dimension++) と唱えると、2次元の世界の住人を3次元に引きずり出せるんだよ、すごいだろ?」

興奮気味にそう僕に語る男。僕はこの男を知らない。

「手始めに、この”俺の嫁”を呼び出してやろうか・・・dimension++ !!!」

唱えるや否や、タダの紙に印刷されたインクでしかない存在が、ずろーっと音を立てて3次元の実物になってゆく・・・

が、実際そこにいたのは、2次元キャラだったころのキラキラした感じの全くない、どこか勘違いした感じの残念な若干年増の、普通の女性だった。

僕は彼を尻目に、その場を後にした。

2013年12月6日金曜日

うそつき案内電光板

どこかのでかい駅のコンコース。

ギークな仲間たちと旅行にでも来たのだろうか、某大物Y氏やP氏、M氏、U氏あたりが勢ぞろいしていた。

どうやらそれぞれ解散するらしく、Y氏とP氏は「大阪行」とかかれた、12列シートというお化け仕様の新幹線に乗り込んで行った。別れの挨拶をする一同。

M氏、U氏は「八王子行」とかかれた、これまた8列シートというお化け仕様の特急に乗り込んで行った。さて、とうとうぼっちになった僕。

とりあえずどこに行けば帰れるのかよく分からなかったので、案内板にしたがって、「町田行」とかかれた、クッソでかい10列シートくらいの新幹線(!)らしい乗り物に乗ってみた。発車まで少し時間があるらしい。

ふと、車内の案内電光板に、「北里行のご案内」という案内が流れ出した。どうやら、すぐ後にくるバス(!?)に乗ると、一発で北里大学方面へ行けるらしい。それに乗れれば、自宅までだいぶ近い。

一旦町田行のクソでかい新幹線を折り、近くにいた駅員に案内を受ける。この手元にあるチケットで乗れるのか。どのくらい待つのか。

「北里行はこのホームでお待ちください。4分くらいでつきます。切符もこれで大丈夫です。」

よし、待とう。そう決めた僕は、町田行新幹線の発車を見届け、ホームに残って待つ。

5分経過。こない・・・・30分経過。こない・・・

あまりにこないので、駅員を探してみた。いない。

そうこうしていると、目の前に、「東京行」とかかれた路面電車っぽいものが猛スピードでホーム入りした。

駆け寄って、車掌に聞いてみる。

「あー、北里行ですかー。多分もう終わってますね今日は。」

なんだそれは。騙されたのか。車掌は続ける。

「お客さん、お気の毒ですね。でも向かいのホームに当麻行の列車がきてますので、そちらならどうですか?」

なに!?じゃあそっちに乗ろう。駅員に礼を言い、早速後ろを振り返ると、そこには無駄にデカい新幹線(!?)が居座っていた。大きさを例えるなら、ちょっとしたフェリーのようなサイズだ。

とりあえず乗り込んでみる。16列シート。無駄にデカい。なんだこれ。人がまばらに座っていた。

僕も適当な席に座って、ぐったりと眠りにつく。